【お知らせ】2016年2月12日 新しく調査した「2015年版」を発表いたしました。最新の情報はそちらへどうぞ。

「自治体チェックリスト調査報告 2015年度版」 http://stopijime.jp/check2015

平成25年6月28日、いじめ防止対策推進法(通称:いじめ法)が成立しました。同法は、平成23年10月に起きた大津いじめ自殺事件をきっかけとし、いじめ問題への抜本的な対策として策定されたものです。

いじめ法は、いじめ問題に関し、PDCAサイクルに基づき、継続的で、効果的な施策を実行することを目指しています。すなわち、いじめを防止するために方針・計画を立て(plan)、方針・計画を実行し(do)、その成果を検証し(check)、次年度以降の方針・計画の改善に役立てる(action)といったPDCAサイクルが条文の随所に盛り込まれているのです。

その中心となるのが、planに当たる「いじめ防止基本方針」の策定です。法は、国と国公私立の小・中・高・特別支援学校に対して、いじめ防止のための具体的な方針・計画を立てることを義務付けています(11条・13条)。また、学校の設置主体である自治体に対しても、同趣旨の方針・計画を立てることを推奨しています(12条)。

私たちの調査によると、多くの学校では、自治体から学校基本方針のひな形をもらい、手法を教えてもらいながら、方針を策定しています。そして、自治体のひな形は自治体が策定した基本方針の趣旨を踏まえたものとなっています。つまり、自治体の基本方針の内容をチェックすれば、その自治体内の各学校のいじめ対策の方向性が見て取れるのです。

そこで、ストップいじめ!ナビでは、自治体の基本方針が法の趣旨に即しているかを簡単にチェックするツールとして、いじめ基本方針のチェックリストを策定しました。こちらを用いれば、お住まいの自治体の基本方針がいじめ法の趣旨に即したものであるか否かを、皆さん自身で把握することができます。本チェックリストが活用されることにより、いじめ法の趣旨が共有され、社会の空気が変わり、結果として子どもたちが楽しく健やかに学校生活を送ることができるようになれば、メンバー一同、大変うれしく思います。

ストップいじめ!ナビ一同

(作業チーム:井桁大介、今井知子、楠見洋併、馬場大祐、藤田祐希=自治体チェックリスト班・弁護士チーム/須永祐慈=事務局)
※2015年4月27日一部集計表の誤記を修正しました。


「自治体チェックリスト」調査報告、下記にPDF版もご用意しました。A4等でプリントアウトも可能です。ご利用ください。

自治体チェックリスト調査報告 (PDF版 2014.12更新版)

【お知らせ】

2016年2月12日 「自治体チェックリスト」につきまして、新しく調査した「2015年版」を発表いたしました。最新の情報はそちらにて掲載しておりますので、どうぞそちらをご覧ください。

「自治体チェックリスト調査報告 2015年度版」 http://stopijime.jp/check2015



ストップいじめ!ナビ弁護士チームでは、独自に策定したチェックリストを用いて、いくつかの政令指定都市の基本方針をチェックしました。

 

方 法

まず、いじめ法に基づいて、盛り込むべきポイントを自治体いじめ対策基本方針チェックリストにまとめました。そのチェックリスト評価シートを使用して、メンバーの異なる3チームにより、各自治体をそれぞれ3回チェックしました。この3回のチェックの平均を算出したものが、今回の各自治体の評価になっています。

 

対 象

2014年7月までにウェブに公表されていた14都市に限ります。また、千葉市、名古屋市は案として公表されていたものを対象にしました。なお、札幌市等の6都市は、2014年7月までにウェブに公表されていないため、調査結果欄が空欄となっています。

 

用いたチェックリスト

2014年6月verです。今回のチェック作業を通じてわかりづらい点を修正したものが、今回公表した新版(9月ver)です。今後も随時見直していく予定です。



グラフ1 政令指定都市一覧

 

グラフ2 政令指定都市上位順

自治体チェックリスト点数順



■ 自治体いじめ防止基本方針簡易チェックリスト ■

あなたがお住いの「自治体のいじめ基本方針」は大丈夫??

いじめ対策推進法の目的は、いじめから児童生徒の生命・尊厳を保持することにあります。同法は、この目的を達成するために、「いじめの未然防止,早期発見,事案対処」を妨げてきた「各地域・学校の構造的問題の解決」のための措置を示しました。

あなたのお住いの自治体は、このような法の目的に沿った「いじめ基本方針」を策定しているのでしょうか。各自治体の「いじめ基本方針」について7つの重要項目で判断します。

※「簡易チェックリスト」と細かくチェックできる「チェックリスト」のPDF版はこちらで公開しています。
チェックリストのみ20141010

テーマ 番号 チェック項目 チェック欄

いじめのとらえ方
いじめの発生自体について否定的評価をしないこと、その代わりにいじめの防止等の制度を構築していない場合や、いじめ対策を適切に行っていない場合にはいじめの発生の有無にかかわらず否定的評価が加えられることを明記していますか。
いじめに関する情報を積極的かつ主体的に開示することを明記していますか。

学校の基本方針について
現場の学校の参考となるような①年間いじめ防止プログラム例や、②早期発見・事案対処マニュアル例を公開していますか。
①年間いじめ防止プログラム例や②早期発見・事案対処マニュアル例は、地に足の着いた具体的なものとなっていますか(抽象的な理念だけを並べたもの、現場の先生に全てを押し付けるものになっていませんか)

学校の組織について
毎年、必ず学級担任・教科担任を組織に参加させ、最終的には全ての教職員がいずれかのタイミングで組織に参加することを明記していますか。
外部の有識者を積極的に参画させることを明記していますか。
いじめに関するすべての情報を、組織に集約することを明記していますか。

 

 



評価シートは以下のようにポイント化しています。

■ 自治体いじめ防止基本方針 チェックリスト ■
 都市名:               採点者:                   2014.9
ver
No 項目/点数基準/評価基準 いじめ法等 点数
PDCAサイクルの仕組み
 Ⅰ 1  理念・方針     点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
理念・方針【理念が記載されているか】
・自治体の特性を踏まえた具体的な内容……
・胸を打つもの……
・単に法律等を引き写しただけのもの……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法6条、法12条
2 年間計画       点数 〇……3 △……1 ×……0
【年間計画が記載されているか】
・日にちや実施内容等が記載された具体的なもの……
・項目のみ……
法12条
 3 予算措置       点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめ対策に、特別の予算措置を講じているか】
・増額や増員を、前年と比較して具体的に明記している……
・増額や増員を目指す旨抽象的に記載するのみ……
法10条
 4 人員措置       点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめ対策のために、具体的な人員措置を講じているか】
・いじめ対策のために現場の人員を補充している……
・外部の専門家を確保している……
・人員措置を講じる旨抽象的に記載……
法18条
 5 学校の基本方針のひな形の公開  点数 〇……3 ×……0
【学校の基本方針の策定のひな型となる自治体の基本方針を公開しているか】
・学校が基本方針を策定する上でひな型となる基本方針案を一般人にも公開している・・○
法12条・13条・34条
 6 アンケート      点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【自治体主導の定期的なアンケートを実施しているか】
・アンケート項目や分析結果を公表している……
・自治体に報告されたいじめの存在・件数等を積極的に公開している……
・実施することを抽象的に記載……
法16条1項
 7 調査・研究      点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめに関する調査・研究を実施しているか】
・調査・研究の内容が具体的に記載されている(例:「いじめの実態に関する統計学的な調査」・「いじめが児童等の心身に及ぼす影響に関する研究」)……
・実施することを抽象的に記載……
法16条1項、法20条
 8 見直し        点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【基本方針を見直すことを予定しているか】
・見直しのための日程が確保されている……
・見直しに当たり、学者、弁護士、医師、福祉・心理の専門家、NPO等外部の専門家の意見を取り入れる旨明記している……
・アンケートや調査・研究と見直しが関連付けられている……
・見直しに当たり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、PTA団体、児童・生徒の団体、教職員団体等、関連する専門家・団体の意見を取り入れる旨明記している……
・行政内部の見直すことを抽象的に記載……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法12条、法20条
自治体内部の組織構成について
 Ⅱ  1 設置         点数 〇……3 △……1 ×……0
【教育委員会に、いじめ対策に特化した組織を設置しているか】
常設している……
常設していないが設置している……
法14条3項
 2 構成         点数 〇……5 △……3 ×……0
【自治体内部に構成する何らかの組織(重大事態に対する組織は除く)のメンバーに外部者を入れているか】
・NPOメンバー、弁護士、医師等完全に外部の有識者を組織に入れている……
・警察、民生委員等、公職に就く外部者を組織に入れている……
法14条3項、衆附三項、参附六項
法22条の「組織」について
 Ⅲ  1 内部職員の構成    点数 〇……5 △……3 ×……0
【組織のメンバーにいじめ防止を実行的に行える内部職員を入れているか】
・学級担任,教科担任等の学校現場に携わる者を必ず組織に入れ、数年で全ての教職員が一度は関与するようにしている……
・学級担任・教科担任等の内部職員を組織に入れることを求めるのみ……
・いじめを専門に扱う一部の教職員のみで構成している……×
法22条
2 外部者の参入     点数 〇……5 △……3 ×……0
【組織のメンバーに外部者を入れることを勧めているか】
・PTA、NPOメンバー、地域住民の代表、弁護士、医師等、完全に外部の有識者を組織に積極的に参画することを義務付けている……
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等、日常的に学校の内部で活動する外部者を組織に入れることのみを義務付けている……
・外部者を入れることを勧めるのみで、義務付けていない……×
法22条
3 役割         点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめに関する全ての情報を集約させることを勧めているか】
・自己が担当する生徒かを問わず,いじめの情報及びいじめの疑いに関する全ての情報について,組織に報告するよう促している……
・組織がいじめ対策の中枢であることを抽象的に宣言するのみ……
法22条
いじめ予防の体制作りについて    
 Ⅳ 1 早期発見       点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめを早期に発見するための具体的な手段を設けているか】
・早期発見のためのチェックリスト案を公表している……
・早期発見のためのアンケート案を公表している……
・早期発見を重視する旨抽象的に記載するのみ……
法16条1項
2 窓口の設置      点数 〇……3 △……1 ×……0
【児童等が直接相談・通報できる窓口を公開しているか】
・窓口の担当者、連絡先等が具体的に記載されている……
・窓口がある旨抽象的に記載するのみ……
法16条2項
3 啓発活動       点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【いじめに関する啓発活動(インターネットに関するものを含む)を実施しているか】
・いじめ啓発週間に合わせた具体的な啓発活動が明記されている……
・外部の専門家による定期的な啓発活動を実施している……
・実施することを抽象的に記載……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法15条2項、法19条1項、法20条、法21条
4 指導方針       点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【道徳教育(いじめ授業等)、人権教育、体験学習等、いじめの予防に資するカリキュラムを紹介しているか】
・カリキュラムの内容や時期が具体的……
・学校が求める場合に外部者をあっせんする仕組みを設けている……
・いじめ予防に資するカリキュラムを設ける旨抽象的に記載するのみ……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法15条1項
5 自主的活動に対する支援  点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【児童の自主的活動に対する支援を明記しているか】
・自主的活動の例示が豊富……
・支援の内容が具体的(講師の派遣、予算措置等)……
・支援をする旨抽象的に記載するのみ……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法15条2項
6 学校の年間計画の具体例  点数 ◎……7 〇……5 △……3 ×……0
【学校の年間計画の具体例を記載しているか】
・学校が基本方針を策定する際に参考になる年間計画の具体例が記載されている……
・いじめの予防教育を科目横断的かつ学校教育活動全体を考慮して年間計画を策定するよう求めている……
・年間計画を策定する必要があることを明記するのみ……
法13条、高崎市教育委員会「学校におけるいじめ防止プログラム」参照
7 学校のいじめ防止基本方針  点数 〇……5 △……3 ×……0
【学校のいじめ防止基本方針の策定に当たり、児童、保護者、地域住民等の意見を取り入れる仕組みを設けているか】
・意見を取り入れる仕組みとして、外部の専門家と協力していじめ防止基本方針を策定する仕組みを推奨する等、内容が具体的に明記されている……
・意見を取り入れることを推進する旨抽象的に記載するのみ……
法13条、15条2項、参附三項参照
8 情報の共有        点数 〇……3 △……1 ×……0
【いじめの事実を保護者に共有することが明記されているか】
・情報共有のための具体的な方針や手段を明記している……
・情報を共有する旨を抽象的に記載するのみ……
法23条
9 学校評価         点数 ◎……5 〇……3 △……1 ×……0
【学校が隠蔽を防止し、適切な対策を採るための評価基準としているか】
・いじめの存在を学校評価においてマイナスに評価しない旨明記している……
・いじめの防止等の制度の構築や、いじめの対策を適切に行っていない場合には,いじめの発生の有無にかかわらず否定的評価が加えられることを明記している……
・隠ぺいを防止する旨を抽象的に記載するのみ……
※複数の〇があるなど、とりわけ評価すべき場合……
法34条
重大事態への対応について 
 Ⅴ  1 組織           点数 〇……5 △……3 ×……0
【重大事態に対応する組織について、第三者委員会制度としているか】
・外部の専門家を入れることを明記し、専門性、公平性・中立性を重視している……
・第三者委員会制度とする旨抽象的に明記するのみ……
・自治体内部の組織を母体としている……×
法28条
基本28頁以下
2 予算           点数 〇……2 ×……0
【組織の予算を確保しているか】
・重大事態に対応するための予算を具体的に確保している……
法28条
3 情報の取扱い       点数 〇……3 △……1 ×……0
【重大事態に関する情報の取扱いについて留意しているか】
・情報の取扱いに関し、WHOの自殺報道ガイドラインを参考にする等、既存の知見を踏まえ、具体的にガイドラインを策定している……
・取り扱いに留意する旨抽象的に記載するのみ……
基本30頁
その他
1 その他          点数 0~8
【その他の考慮要素】
⇒地方の実情に応じている、イラストやグラフを用いるなど分かりやすさの観点から工夫されている、児童に寄り添っていることが伝わる、加害児童に対する教育的配慮も重視している、ネットいじめについて詳細な記載がある、多数の関係機関が一丸となって対策に取り組む旨明記している等、いじめ対策に真摯に取り組んでいることが分かる記載がある場合には、裁量で点数を加する。
法14条
合計 /110

 



個々の自治体が法の趣旨をどのように理解しているかを検証すべく、自治体が策定し公表する基本方針を確認してみると、それぞれ随分と色合いが異なることがわかりました。

そして、残念ながら、法の趣旨を正解せず、おざなりな基本方針を策定する自治体も少なくありません。特に、最も法の趣旨に反していると思われるのが、法22条に定める組織の在り方です。

法は、学校内部に、いじめ対策の中枢となる組織を設置することを義務付けています。そして、組織には、生徒指導の中心となる先生たちだけではなく、一般の先生たちや外部の有識者を参画させることを求めています。

しかし、多くの自治体では、従前の生徒指導担当などのメンバーをそのまま組織のメンバーとしてお茶を濁しているのです。これでは、せっかくのいじめ法の趣旨が、教育現場にいきわたらないこととなってしまいます。法律の良い点が活かされないのは、法律家として大変もったいないと感じます。

今回の報告書では、14都市のうち上位3都市と下位3都市について詳細な寸評を行いました。

担当者が異なるため、若干注目している観点が異なりますが、全体的に見れば、具体的な対策が記載されていること、法の趣旨に合致した記載になっていることが高評価の対象となっています。一方で、抽象的記載にとどまる場合には低評価につながっていることが見て取れると思います。

(12月8日追記)

9月時点で公表されていた自治体について、12月に全て寸評を加えました。これに伴い、以前掲載していた上位3市、下位3市についての寸評も見直し、全面改訂としました。全体を一読して頂ければ、自治体チェックリストに求められるものが浮き彫りになるものと自負しています。是非ご覧ください。

なお、調査の結果、9月以降にいくつかの政令市で基本方針が公表されていることが判明しました。これらも合わせて寸評を加えるか悩みましたが、①他の政令市と比べ準備期間が長く、他の政令市の動向も踏まえて制定できるため、相対的に順位が上がると思われ、他の政令市との比較で不公平となりえること、②新たな公表の都度順位に反映させていくと、今年度の順位を固定することができなくなりますが、順位については年度ごとに固定したほうが改善の経緯がわかりやすくなることなどから、新たに公表された政令市については、来年度以降に改めて検討対象とすることとしました。



1位 川崎市

・「いじり」と「いじめ」の具体例を列記するなど、いじめの定義が具体的といえます。

・「インターネット上で悪口を書かれた児童生徒がいたが、当該児童生徒がそのことを知らずにいるような場合など、行為の対象となる児童生徒本人が心身の苦痛を感じるに至っていないケースについても、加害行為を行った児童生徒に対する指導等については『法』の趣旨を踏まえた適切な対応が必要である。」としており、法の趣旨を踏まえ、「いじめの芽」を摘み取ることを強く意識しています。

・「いじめられた児童生徒の立場に立って、いじめに当たると判断した場合にも、その全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない。具体的には、好意から行った行為が意図せずに相手側の児童生徒に心身の苦痛を感じさせてしまったような場合については、学校は、行為を行った児童生徒に悪意はなかったことを十分加味したうえで対応する必要がある。」などと、状況ごとに個別具体的な対応が必要であることに配慮しています。

・いじめについての現状認識として、「いじめはどの学校や集団でも、どの児童生徒にも起こりうる問題であるとの認識をもつ、いじめは当事者以外からは見えにくいものである。わざとぶつかって『ごめん』と謝ったり、遊びやゲームを装ったりする巧妙化や偽装化が進んでいる。またインターネットの普及により体力に関係なく誰もがいじめる側、いじめられる側になる可能性がある。」等の記載があります。具体的かつ現実的で、素晴らしいと感じました。

・「いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、各学校に設置される『校内いじめ防止対策会議』を活用して行う。」、「教職員は、いじめの兆候や懸念、児童生徒からの訴えを、一人で抱え込むことなく、管理職や学年職員に相談し、『対策会議』に報告する。」などと記載しています。いわゆる「クラスの壁」、「担任の壁」を怖し、学校全体でいじめの芽を摘み取ろうという意識が見て取れ、素晴らしいと感じます。

・いじめ対策会議の役割として、「いじめに関する情報の収集と記録、情報共有」、「いじめの相談・通報の窓口」、「いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証、必要に応じた計画の見直し」、「いじめの防止等の取組についてPDCAサイクルでの検証」、「定期的な『学校基本方針』の見直し」などを具体的に明記するとともに、「いじめられている児童生徒の立場に立って考え、初期段階から組織(チーム)で対応する」ことを強調しています。

・ソーシャルワーカーの活用について、「『校内いじめ防止対策会議』への参加及びいじめ問題の社会福祉の専門的視点に基づく具体的な支援」など、役割も具体的に明記されており、重視していることが窺われます。

・相談窓口の内容も具体的で、平日夜間も対応可能とするなど、本気度が見て取れます。

・発達障害児童に対する取組にも言及しています。

・いじめの発見、対応に関する取組も非常に具体的です。

・「いじめは見ようとしなければ見えない」といった標語もわかりやすいと感じます。

・全体として全ての記述が具体的であり、いじめ法の理念を十二分に反映させています。来年度以降は、トップランナーとして、全国の市町村を引っ張る役割を担ってほしいと感じます。

2位 仙台市

・いじめの理解の項目において、「また、発達障害のある児童生徒や特別支援学校・特別支援学級に在籍している児童生徒がいじめを受けたり、いじめを行ったりする場合がある。これらの児童生徒については、その特性から、自分がいじめられているとの認識が弱かったり、自分の気持ちをうまく伝えることが苦手であったりするために、いじめが発見されにくいことがある。」等、様々な生徒の特性を踏まえた「いじめの理解」を記載されています。

・いじめの防止~「いじめはしない・させない・ゆるさない」の項目において、「いじめ問題の解決のためには、加害・被害の関係改善だけにとどまらず、周囲の「観衆」や「傍観者」の立場をとる児童生徒への働きかけと意識付けが何より重要であ」る、として集団でのいじめ問題解決に関する記載がなされたうえで、上記のような「いじめはしない・させない・ゆるさない」というわかりやすい標語が付されています。

・市が取り組む主な施策の項目において、例えば、「毎年11月を「いじめゼロ・キャンペーン」月間とし、学校と連携の上、いじめの防止等の啓発活動に取り組む。」等、具体的な施策が列挙されている点が評価できます。

・学校におけるいじめの防止等に関する取組の項目において、「児童生徒の発するいじめのサインを学校全体として見逃さないために、市教育委員会作成の「いじめ防止マニュアル」などを基にした、学校の実情に応じた教職員用のいじめの発見のための注意・チェック事項等を整理・作成する。…いじめの疑いのある情報を教職員が把握した場合の報告のルートなど、組織的な情報集約化のための基本的なルールなどを策定する。」等学校が行うべき具体的取組を記載し、学校側の取組の指針を具体的に示すことができています。

・いじめへの対処の項目において、「被害者児童生徒への対応及び支援」と「加害児童生徒に対する措置」という項目をそれぞれ立てたうえで、それぞれの立場からの対処方法を具体的に列挙しています。それぞれの立場に配慮し、いじめ問題を重層的に捉えようとしており、素晴らしいと感じます。

・国の基本方針をそのまま引用している箇所が多い点は残念です。来年度以降は、仙台市独自のメッセージが発信されることを期待します。

・財政的な措置について一切触れられていません。

・情報の公開・共有についての記載は見受けられますが、法34条のいじめの事実の隠ぺい防止の記載がなされていません。

・全体として、法や国の基本方針の趣旨を踏まえようと意識したうえで、仙台市の基本方針が策定されており、評価できます。上記のような具体的施策・措置の更なる具体化及び財政措置・隠蔽防止の記載の充実がなされれば、更に内容の濃いものになると考えられます。

 

3位 福岡市

・いじめの定義について、いじめ法2条の定義を明示し、こまやかな条文解釈をしているだけでなく、心理的・物理的影響についてそれぞれの具体例を出しながら分かりやすく説明されています。

・いじめの定義に関連して、「いじめの対応にあたっては、いじめられたとする児童生徒の立場に立ち、いじめがあったという認識のもとで受容的に接する」と明記しており、いじめ法の重要な目的であるいじめられた生徒児童の救済が重視されています。

・いじめの早期発見・早期対応について力をいれており、特に「学校においては月1回いじめのアンケート及びQ—Uアンケート等の調査実施する」、「『いじめ防止対策委員会(小)』・『いじめ非行防止対策委員会(中)』等の月1回開催の徹底」というように、具体的な期間を示して対策に取組む旨明記されています。

・学校いじめ防止基本方針の策定について、「学校基本方針を策定するに当たっては、方針を検討する段階から保護者等地域の方の参画や、児童生徒の意見を取り入れるなど、児童生徒や地域を巻き込んだ方針」を理想としており、多角的な意見を取り入れる努力がなされています。

・重大事態についても、条文解釈を丁寧に行っており、特に「『事実関係を明確にする』とは、重大自体に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や自働性との人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。この際、因果関係の特定を急ぐべきではなく、客観的な事実関係を速やかに調査する」としており、責任のなすりつけをするのではなく、事実を解明しようとする姿勢が示されています。

・重大事態における情報の取扱いについて、プライバシー保護に配慮しつつも、「いたずらに個人情報保護を楯に説明を怠るようなことは行わない」としており、情報を提供する姿勢が強く見受けられます。

・それぞれの施策について、いじめ法の根拠条文をあげており、条文を意識しながら読むことができる作りになっていて素晴らしいと感じました。また、根拠条文のみならず、施策について継続・強化・新規という3つの分類にわけているのは、わかりやすく、良い点だと感じました。

・市の施策など法律で規定されていることについて羅列的に示されていますが、法律をより具体化して分かりやすいものにするという姿勢に欠ける部分が少なからず見受けられました。来年度以降は、上位2都市のように、実施した施策が具体的に記載されることを期待します。

 

4位 堺市

・いじめの定義について、いじめ法2条を引用しつつ、「一定の人的関係」「物理的な影響」「心身の苦痛を感じているもの」の解釈について丁寧に論述しており、分かりやすいと感じます。

・いじめの定義に関連して、「『いじめ』からけんかは除くが、外見的にはけんかのように見えることでも、いじめの被害を受けた児童生徒の感じる被害性に着目した見極めが必要である。また、いじめの被害を受けた児童生徒の立場に立っていじめに当たると判断した場合にも、好意から行った行為が意図せずに相手側の児童生徒に心身の苦痛を感じさせてしまったようなときなど、その全てがいじめとしての厳しい指導を要する場合であるとは限らないことにも留意する。」という記述があり、いじめに当たるか否かについて、被害者の立場に立って判断するという原則を明記しつつ、いじめに当たるとされた場合にも、加害児童への指導は多様なものがありうることを示しており、多角的な視点でいじめを解決する姿勢が見られます。

・いじめの認知について、「特定の教職員のみによることなく、法第22条の『学校におけるいじめの防止等の対策のための組織』を活用して行う」としており、特定の教職員によっていじめが隠匿されることを防ぎ、組織的に認知し、対応しようとする姿勢は素晴らしいと感じます。

・いじめの未然防止、早期発見、早期解決について、「『被害者』『加害者』だけでなく、『観衆(はやしたてたり、おもしろがったりして見ている)』『傍観者(見て見ぬ振りをする)』」を含めたいじめの四層構造がある」と四層構造を明記した上で、「いじめの継続や深刻化に、『観衆』や『傍観者』の存在が大きく影響している。『観衆』はいじめを積極的に是認し、『傍観者』はいじめを黙認し、結果的にいじめを促進してしまうことになる。いじめの防止に向けて、『加害者』だけでなく、『観衆』『傍観者』をつくらないことをめざ」すとしています。基本方針には記載がありませんが、市のウェブサイトを検索すると、堺市では2008年度より「堺市ネットいじめ防止プログラム」を実施しているようです(http://nib.sakai.ed.jp/)。このような取組の内容が基本方針にも反映され、有機的ないじめ方針となることをを期待します。

・いじめの早期発見については、「いじめの発見のための注意項目等を整理した『いじめ対応チェックシート』を全教職員に配付し、活用を促す」との記述があり、「いじめチェックシート」の配布、活用など具体的に示されている点は素晴らしいと感じます。また、基本方針には記載がありませんが、保護者に対しいじめに関する相談窓口の具体名や連作先を記載したペーパーを配布しているようです。その配布物には、「いじめがあった時には、学校・教育委員会は、全力でお子様を守ります。」と宣言しており、気概を感じます(http://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/kyoiku/oshirase/mizenboshi.files/h2407_04.pdf)。来年度以降は、チェックシートの実物や保護者に対する相談窓口の一覧などが基本方針に反映され、いじめ対策が一元的に整理されることを期待します。

・いじめに対する評価について、「教育委員会は、いじめの有無や多寡のみによって学校や教職員を評価するのではなく、問題を隠さず、児童生徒や地域の実態を踏まえて、目標を立てて取り組んでいるか、いじめが発生した場合には教職員が連携して組織的に解決に当たっているかなど、取組や対応を評価するとともに、必要な支援や指導・助言を行う。」としています。法35条の趣旨に合致しており理念として重要な記載です。来年度以降は、このような理念に則した具体的な評価基準や、各学校の取組や対応のうち評価したもの、評価しなかったもの、教育委員会が実施した支援や指導・助言の具体的な内容が基本方針に掲載されることを期待します。

・22条組織について、「校長・教頭・首席・指導教諭・養護教諭をはじめ、校長が指名する教職員等で基本的に構成し、組織的対応の中核として機能するような体制を、学校の実情に応じて決定する。また、内容・案件により、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家の参加について検討する」との記述があります。スクールカウンセラー等の専門家の参加に消極的と言わざるを得ず、法の趣旨に反していると感じます。また、学級担任や教科担任・部活指導教員などが組織に入ることを全く予定しておらず、この点でも法の趣旨に合致していません。組織の構成員を重層的にしなければ、組織的にいじめを認知し対策することはできません。来年度以降、抜本的な拡充が図られることを期待します。

 

4位 熊本市

・基本方針全体の印象として、国に基本方針や法の規定を単に引きなおすものや、取組が抽象的なものが目に付きます。来年度以降は、実際の取組を具体的に記載されるものと期待します。

・いじめを早期に発見するための対策において、「児童生徒及びその保護者並びに当該学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができるよう、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、心のサポート相談員による支援体制を整備する。」と明記しており、児童のみならず、保護者や教職員が、スクールソーシャルワーカー等を積極的に活用できるとしている点は素晴らしいと感じます。来年度以降は、支援体制の整備実績や、各学校におけるスクールソーシャルワーカー等の活用実績の分析結果など、具体的な内容が掲載されることを期待します。

・法22条の組織の構成員について、「学校の管理職や主幹教諭、生徒指導担当教員、学年主任、養護教諭、学級担任や部活指導に関わる教職員等で構成する。なお、問題の状況等に対応して関係教職員等を参加させる。」としています。養護教諭、学級担任、部活指導担当教職員等、児童・生徒と関係の深い現場の教職員等の参加を明示している点は、他の政令市には見られない記載であり、法の理念を実践する大変素晴らしい方針であると感じます。

・法22条の組織について、「心理や福祉の専門的な知識を有する者を構成員とする。さらにそうした者が参加する会合を開催し、いじめについての現状分析や、それを効果的に防止するための具体的で実践的な方策について検討する。この会を、年間2回は実施するように努める。」としています。こちらも、専門的な知識を有する者を、例外なく構成員とすることを明記しており、組織の開放性・公正性の観点から、素晴らしい方針と感じます。さらに、組織における会合で検討すべき内容や会合の回数まで具体的に明記されており、全国の政令市の中で、組織に関する記載は最も法の趣旨に合致していると評価できます。

・いじめに対する措置として「⑤ いじめが起きた集団への働きかけ ア いじめをとめることができないときは、誰かに知らせることが大切なことだと理解させる。 イ はやしたてる行為は、加担する行為であることを理解させる。 ウ 学級全体で話し合うなどして、いじめを根絶しようとする態度を育てる。 エ いじめの解決には謝罪のみで終わらせるものではなく、人間関係の修復を経て、好ましい集団活動を取り戻すよう働きかける。」等,集団によるいじめのエスカレート化を防止しようとさせる姿勢が見えます。また、教職員が具体的に活用しやすい具体的な記載となっており、大変わかりやすい内容です。

・全体的に抽象論が多いため、施策として評価できる箇所は物足りなく感じました。例えば、年間スケジュールの例を記載するなどの具体的な記載があれば、よりよい基本方針になると思われます。

 

6位 横浜市

・全体として抽象的な記載にとどまります。実際の取組内容を具体的に記載する必要があると感じます。

・理念としては「組織的に取り組む」、「学校組織をあげて」と記載されていますが、22条組織の役割はあいまいなものとなっています。いじめの予防、早期発見、深刻化の防止のそれぞれのフェーズでどのように「組織的」に取り組むのか、そのためにどのような「組織」を理想とするのか、具体像を明示するとより良くなると感じます。

・「いじめに関する相談体制の充実」とありますが、相談機関の名称、連絡先、具体的相談体制等は明示されていません。

・「財政上の措置・・を講じる」と明示している点は素晴らしいと感じました。明記する政令市は稀です。来年度は実際に講じた財政措置の詳細が明記されると思われますので、その金額について改めて検証したいと思います。

・教育委員会に設置する「いじめ問題専門委員会」に「弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等」を活用することを明記しています。公平性、中立性、専門性等の観点から重要な取組と感じます。ただ、基本方針上、その役割が具体的に明記されていない点は残念です。来年度は具体的な活動の明記が期待されます。

・「いじめ防止啓発期間」が明記されており、素晴らしい取組と感じました。来年度以降は啓発期間の具体的な取組が記載されることを期待します。

・各学校の評価として、いじめの件数の多寡を重視することなく、問題を隠さなかったこと、迅速に対応したこと、組織的な取組を推進していること等を重視すると明記しています。法の趣旨に合致するものでありながら、他の政令市にはあまり見られない記載であり、素晴らしいと感じました。

・学校予防規則の制定に当たり、保護者や地域住民を参画させることや、児童生徒の意見を取り入れることを明記しており、法の理念を活かそうとする意識が窺えます。来年度以降は、市による各学校への具体的なサポート内容(会議運営のサポート内容や、マネジメントを担当する職員の派遣等)が明記されることを期待します。

・22条組織の構成に当たり、「既存の組織を活用することは、法の趣旨に合致する」と記載し、既存の組織をそのまま流用することを勧めているように読めますが、そうであるとすれば、これは明らかな誤りと考えます。法は、各種の取組を「実効的に行う」ため、学校の複数の教職員に加え、専門知識を有する者を構成員とするよう明記しています。既存の組織をそのままスライドすることは予定していません(そうであれば法文にその旨明記されていたはずです。)。また、文科省の基本方針においても、既存の組織を「活用」することを否定してこそいませんが、既存の組織をそのままスライドさせて22条の組織を構成することは全く推奨されていません。法の趣旨を実現させるためには、既存の組織を「活用」しつつ、それを発展させること、例えば科目担当教員や実際に子どもたちと接する担任教員等を構成員に入れることなどが求められるのであって、そのままスライドすることは求められていません。また、横浜市の基本方針では、専門知識を有する者について、「必要に応じて」「参加を求める」と記載していますが、これも誤りと考えます。単に「必要に応じて」部分的な「参加を求める」だけではなく、組織の構成員に取り込むことが求められます。以上のように、22条組織に関する横浜市の方針は、法の解釈を誤ったものと言わざるを得ません。来年度以降に改善されることを強く期待します。

・いじめ予防については、道徳教育を過度に重視しており、体制づくりへの目配りが不足気味と感じます。

・いじめへの措置として、「特定の教員で抱え込ま」ないことを強調している点は素晴らしいと感じます。いじめは組織的に対応することが求められ、その意味でも22条組織の意義は小さくありません。来年度以降は、特定の教員で抱え込まないようにするための具体策(副担任制度の設置、定期的ないじめミーティング、22条組織へのクラス担任の加入、22条組織内に外部通報窓口の設置等)が明示されることを期待します。

・重大事態の定義について、他の政令市よりも狭く解していると思われます。それだけでプラス・マイナスのいずれかに評価されるべきものではありませんが、狭く解する理由が明記される必要があると感じます。

・重大事態への対応として、自殺に関する調査指針やWHOの自殺報道に関する提言を参考にする旨明記している点は素晴らしいと感じます。

・全体の印象としては、財政措置を講じることの明記、学校評価における隠ぺい防止の重視等の各論として素晴らしい取組がいくつか見受けられる一方、理念についてはマニュアル的な記載となっていること、情感的な取組が多く具体的な取組が少ないこと、そして何より組織の在り方について法の趣旨を誤解していることが問題点と思われます。来年度以降の改善に強く期待します。

 

7位 広島市

・基本方針の全体を通して、理念や基本方針について法の規定を簡略化したうえで引き直す等、いじめ防止に対する国の指針の引き直しにとどまる印象を受けました。広島市特有の現状・問題点を契機にした具体的施策がほとんどなかったことは、法の趣旨を反映していないものと思われ、残念です。

・いじめの定義が抽象的で、どのような行為がいじめに当たり得るかの具体例が記載されていません。

・22条組織について「学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関すると措置を実行的に行うため、法第22条の規定に基づき複数の教職員、ソーシャルカウセラー等により構成される常設の組織を置く(学校いじめ防止委員会)。」と記載しています。ソーシャルカウンセラー等を組織のメンバーとしていることは素晴らしいと感じます。ただ、現場の教職員や科目担任、部活指導担当等生徒と密に接する現場の教職員の参画が予定されていないことは、法の趣旨を貫徹するという観点から、不十分と言わざるを得ず、来年度に期待したいところです。

・認知したいじめへの適切な対応について、「問題行動を起こす児童生徒や学校への支援を行う生徒指導員(元警察官)を配置し、いじめの早期発見・早期対応を強化する」ことが記載されています。元警察官という外部の人間を登用しようとする点は積極的な姿勢と思われます。今後は、元警察官に限定することなく、より広範な人材を登用することを期待します。

・いじめに関する総合施策の中の児童会・生徒会が主体となって行う取組として「4月中に『楽しい学校つくり週間』を設定する。」、「9月を『いじめ防止取組強化月間』に設定する。」との記載があり、具体的な月にどのような対策を取るかを記載している点は素晴らしいと感じます。来年度は、その具体的な取組内容が記載されることを期待します。

・いじめに関する総合施策として「学校の授業で行うべき内容」、「家庭・地域と連携した取組」などの項目を設けて、各学校の基本方針に役立つような項目が立てられていることは評価できます。来年度は、その内容が具体的なものとなることを期待します。

・全体として、抽象的な記載が多く、特に学校いじめ防止基本方針に関する記載については学校に任せる(悪く言えば丸投げする)記載が目立ちます。いじめに関する総合施策として「学校の授業で行うべき内容」という項目を設けていることに照らし、その項目の記載を具体的に示すことにより、各学校の基本方針のモデルケースとして十分に機能するようにすればよりよい基本方針になると思われます。

 

8位 名古屋市

・いじめ等を防止する基本的な考え方として、「未然防止」「早期発見」「組織的な対応」が重要であることを明記しています。いじめ法の趣旨を理解したうえで、いじめ防止基本方針を作成したことが窺われ、評価できます。

・22条組織について、「学校は、いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員・心理、福祉等の専門的知識を有する者その他の関係者により構成される『いじめ等対策委員会』を置く」との記述があります。専門的知識を有する外部者を組織の構成員としている点は素晴らしいと感じます。ただ、構成員についての記述が「複数の教職員」という曖昧なものとなっていることは残念です。来年度は、毎年必ず学級担任、教科担任、部活指導担当教員等、現場で生徒と密に接する教員が組織に入ること、数年スパンで全ての教師が組織に一度は参加することなど、法の趣旨を生かす具体案が明記されることに期待します。

・いじめの情報の共有として、「教職員は、ささいな兆候や懸念、児童生徒からの訴えを、抱え込まずに全て当該組織に報告・相談する。加えて、当該組織に集められた情報は、個別の児童生徒ごとなどに記録し、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図ることが必要である。」との記述があり、ささいなことであってもいじめの疑いがある情報については、全ていじめ等対策委員会で共有することを明記しています。いじめ法の理念通りの取組でありながら、他の政令市では稀な記載であり、素晴らしいと感じます。

・いじめが起きた場合の評価・いじめの隠蔽について、「いじめの疑いに係る情報があった時には緊急会議を開いて、いじめの情報 の迅速な共有、関係のある児童生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する」との記述がありますが、いじめが起きたこと自体を否定的に評価しないこと、及び、いじめ問題に対応する組織やシステムがなどの対策が不十分であった場合にマイナスの評価を受けるという点を明示しておらず、いじめの隠蔽をなくすための配慮が不十分と言わざるを得ません。

・重大事態の対応について、「教育委員会においては、義務教育段階の児童生徒に関して、出席停止措置の活用や、いじめられた児童生徒又はその保護者が希望する場合には、就学校の指定の変更や区域外就学等の弾力的な対応を検討することもある」との記述があります。重大事態の性質を考えて、被害者に寄り添った具体的な対応をしようとする意思を読み取ることができ、評価できます。

・重大事態が起きた場合の情報の取扱いについて、「教育委員会又は学校は、調査により明らかになった事実関係(いじめ行為がいつ、誰から行われ、どのような態様であったか、学校がどのように対応したか)について、いじめを受けた児童生徒やその保護者に対して説明する。これらの情報の提供に当たっては、教育委員会又は学校は、他の児童生徒のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。ただし、いたずらに個人情報保護を楯に説明を怠らないようにする。」との記述があります。プライバシーや個人情報保護を理由に、被害者及びその家族が情報を得られないことのないように、注意を促している点は評価できます。

・上位の都市に比べて、いじめ法の条文の根拠を示している部分が少ないように感じました。また、よりよい基本方針にするためには、より具体的な記述をすることが望ましく、例えば、アンケートを実施するのであれば、どのくらいのスパンでやるのかなど、具体的な数字の記載がされると、より現実味を帯びた基本方針になると感じました。

 

9位 浜松市

・全体として、対策の内容が抽象的な記載にとどまっています。来年度以降、具体的になることを期待します。

・いじめの定義について、「軽く体を当てられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」など、具体的ないじめの態様が記載されており、イメージを共有しやすくなっています。また、法の定義に囚われることなく、「本人が気付いていなくても、その子が『いじめられている状況にないか』という視点で、トラブルも含めて周辺の状況等を客観的に確認することも必要です。」と明記しており、「いじめの芽」を含めて、徹底した予防・対策を重視していることが窺われます。

・いじめの態様について、「『暴力を伴わないいじめ』であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、『暴力を伴ういじめ』とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせます。」として、コミュニケーション操作系いじめの深刻さが強調されています。このような理解が、来年度以降、実際の対策に反映されるものと期待されます。

・「『観衆』としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている『傍観者』の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許さない雰囲気が生まれるようにすることが必要です。」としており、いじめの四層構造のそれぞれに対策が必要であることを宣言しています。

・必要に応じて「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった心理、福祉の専門家や教員経験者、警察官経験者等の外部人材を派遣」する旨記載しています。専門家が学校現場に入ることは意義のあることと思いますが、目的や役割、地位等が明記されておらず、いじめ対策としてどこまで効果をもたらすのか不透明です。来年度以降に期待します。

・24時間相談可能ないじめに関する相談機関の電話番号が明記されています(「浜松市いじめ子どもホットライン(053-451-0022)」)。素晴らしい体勢だと感じます。

・教育委員会内部の対策委員会の委員に、「弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家、警察官経験者等の専門的な知識及び経験を有する者」を委嘱するとしています。外部の有識者を委員とすることは、教育行政の中立性・開放性を担保するために重要な取組です。来年度以降、これらの委員の具体的な活動が基本方針上で報告されることを期待します。

・いじめに関する調査として、「市立全小学校4年生から中学校3年生までの子どもを対象に、統一された内容で調査」を実施するとしています。収集したアンケートのメタデータや研究結果の開示等を期待します。なお、アンケートの作成、回収の際には、いじめの回答が多い学校にマイナスの評価をしないことが強調されるとよいと思います(法34条)。

・22条組織について、具体的な構成メンバーが明記されておらず、法の趣旨が反映されていません。また、本来、それぞれ最低1名の加入が望ましいとされる「学級担任や部活動顧問等、関係の深い教職員」について、必要に応じて「追加」するといった取扱いとしており、この点でも法の趣旨が徹底されていないと感じます。いじめ対策を実効的なものとすべく、22条組織のメンバー構成の発展を期待します。

・重大事態の定義について、「子どもや保護者から、いじめを受けて重大事態に至ったという申立てがあったとき」を単独で要件としていることは、重大事態と宣言することに消極的にならないという点で、重要であると感じます。

・いじめの報道について、WHO自殺報道ガイドライン等に言及しており、評価できます。

・28条組織について、第三者の関与が明記されておらず、極めて不十分です。重大事態が生じた場合、関係者が最も重視することは、公正性と中立性です。教育行政の内部者のみで組織を構成することは、法の趣旨に合致していません。「初期調査が不十分と思われる場合、被害者側から理解が得られない場合」等に、再調査を実施し、その委員については「弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等の専門的な知識及び経験を有する者から市長が委嘱」すると明記していますが、これでは二度手間となるうえ、証拠の散逸を招き、望ましくありません。重大事態の場合には、初期調査の段階から、上記の専門的かつ中立的な委員を委嘱し、徹底した調査に当たらせることが肝要です。来年度以降の改善に期待します。

 

10位 千葉市

・いじめの構造分析として、傍観者や観衆など、いわゆる第三者的立場の重要性を強調している点、集団の力がいじめの陰湿性の一端を担っている点等、第三者の位置付けとその影響を重視し、その対策を打ち出すことを理念として明記しており、素晴らしいと感じます。

・言葉でのからかいはいじめの端緒である等、「いじめの芽」を含めた広範ないじめ対策を目指していることが窺われます。

・「いじめのサインに気付き、対応するために」のチェックシートが掲載されています。他の政令市では稀な素晴らしい取組と感じます。「いじめの芽」に関する具体的な項目を設けることで、真に実効的な予防策が打ち出せると思われます。いじめの芽を見逃さないという本気度が感じられます。

・アンケートについて、「各学校で3年間保存」すること、いじめアンケートの活用方法の例として、「① 実施時期 6月頃・10月頃・1月頃 または 6月頃・12月頃」と実施時期を具体的に表していること、いじめアンケートの活用フローチャートの例として、いじめアンケート後の態様についても具体的に例を載せていること、いじめアンケートの例として、複数の種類(小学生用・中学生用)のアンケート例を記載しています。アンケートを各学校において実施させ適切な態様を取らせようという気概が感じられ、素晴らしいと感じます。

・いじめアンケート調査について、「教職員同士がいじめ問題について話し合う場面において、アンケートの結果を材料として活用し、共通理解や情報共有等を行うなど、日ごろから教職員同士が相談できる雰囲気を作り、チームで対応できる体制を整えておくようにする。」等、いわゆる「クラスの壁」、「担任の壁」を乗り越えようとする姿勢が見られます。法の趣旨に合致するものであり、素晴らしいと感じます。

・22条組織について、来年度は、教科担任や現場の先生が組織に必ず参画する旨が明記されることを期待します。

・来年度は、いじめ防止の年間計画例を記載するなど、法の趣旨に沿った記載や例を挙げることができれば、いじめ法の趣旨を踏まえたうえで、千葉市の特徴が出ている案となり完成度が高くなると感じます。

 

11位 新潟市

・いじめの定義について、いじめ法2条の引用すら見られず、残念です。いじめ防止基本方針を示すに当たって、まず「いじめ」をどのようなものと捉えるのか、具体的な例を挙げつつ、新潟市の考えを示すべきです。

・学校評価、教師の評価について、「学校評価においては、その目的を踏まえ、いじめの有無やその件数のみを評価するのではなく、児童生徒や地域の状況を十分踏まえて設定した目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価し、評価結果を踏まえてその改善に取り組むよう支援する。」、「教員評価においては、いじめの有無やその件数のみを評価するのではなく、日ごろからの児童生徒の理解や、いじめの防止、早期発見、いじめが発生した際の迅速かつ適切な対応、組織的な取組等を評価するよう支援する。」との記述があります。いじめがあったこと事態に対して否定的評価をしないこと、及びいじめに対する対応について評価をすることを明示している点は評価できますが、他方、「いじめの有無やその件数のみを評価するのではなく」と記載すると、有無や件数は評価の対象にはなると誤解を与えかねません。法は、「いじめの事実が隠蔽されず、並びにいじめの実態の把握及びいじめに対する措置が適切に行われる」ことを重視していますが、有無や件数を評価項目としてしまうと、学校現場は、どうしても件数を減らす方向に意識を向けてしまいます。来年度は、有無や件数は評価の対象とはしないことを明記することが望まれます。

・いじめの情報の取扱いについて、「小・中学校間において、いじめに係る事実の提供や情報収集をきめ細かく行うなど、接続する小・中学校の連携の充実が図られるよう支援する。」と記載されています。小中学校の情報共有は中学入学直後のいじめ対策として有効とされており、重要な取組であると感じます。

・22条組織(いじめ対策委員会)について、「いじめの防止等の課題に対して、教職員、医師、スクールカウンセラーや社会福祉士など心理や福祉の専門家、教員・警察官経験者などの地域人材等が、それぞれの役割や専門性を発揮して、組織的、実効的に解決に向けて取り組むことを目的として、例えば『いじめ対策委員会』の名称の組織を各学校に設置する。」との記述があります。専門家や第三者の参加を積極的に促そうとする姿勢は評価できますが、専門家や地域人材が、常に組織のメンバーとなるのか、単なるオブザーバー的な参加になるのかといった、参加形態があいまいなものとなっています。来年度は、組織のメンバーとすることを明記することを期待します。また、どのような教職員が参加するかについてもあいまいなものとなっており、来年度以降は、法の趣旨を踏まえ、学級担任、教科担任、部活指導担当教員等を必ず構成員とする旨記載されることを期待します。

・いじめ防止基本方針について、「この基本方針は、国の基本方針が3年の経過を目途として見直すことに際し、必要に応じて見直すものとする」との記述がありますが、仮に3年に一度しか見直しをしないということであれば、法の趣旨に反します。いくつかの改善点があることは明らかですから、子どもたちの命と健やかに教育を受ける権利を守るためにも、必要に応じた見直しが求められます。

 

12位 神戸市

・いじめ法の条文の引用が少ないように感じます。また、広く地域住民に公表し、見てもらうという意識が低いように思えます。

・『神戸市いじめ指導三原則「するを許さず されるを責めず 第三者なし」』の標語はわかりやすく、評価できます。

・いじめの留意事項が具体的に運用されていること、その具体例がふんだんに記載されている点は高く評価できます。来年度以降は、「いじめ」の痛みは被害者にしかわからないということを強く意識した上で、より被害者に寄り添った記載を期待します。

・『必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずる。』として、予算措置をとる旨が明記されています。他の政令市には稀な記載であり、高く評価できます。来年度以降は、この記載に基づき、予算措置の具体的な内容が公表されることを期待します。

・教育委員会に設置されるいじめ問題対策連絡協議会の構成員について、「学識経験者、神戸地方法務局、兵庫県警察本部、神戸市こども家庭センター、学校、家庭、教育委員会、その他の関係者により構成」するとしています。行政機関の専門家を構成員としている点は評価できますが、来年度以降は、より中立性・公平性・開放性を高めるべく、弁護士や医師、福祉の専門家といった民間の外部の専門家を登用することを期待します。・神戸市の実情を踏まえた基本方針が策定されていることが望まれます。グラフなどを使ってわかりやすく記載する川崎市などを参考にするとよいように思えます。

・法34条に基づく「いじめの事実が隠蔽されない」ことを意識した体制が取られていません。来年度以降は、この点を重視する体制づくりが求められます。

13位(ブービー) 相模原市

・基本方針の全体を通して、理念や基本方針について法の規定を単に引き直すだけである等、抽象的にいじめ防止に対する自治体の政策的指針を示しているにとどまる印象を受けました。特に、いじめについての現状認識、地域の実情を踏まえた具体的な記載がほとんどなかったことは、法12条の規定の趣旨が十分に反映されていないことになります。

・事前予防、早期発見、事案対処に対する取組みという3つの対策のそれぞれが、非常に抽象的です。来年度以降は、いじめ問題に取組むPDCAサイクルについて具体的な年間計画を示して対策に取組むなど、積極的な姿勢を示すことが望まれます。

・いじめ対策のための人員対策について、「市は、市立小中学校における研修の充実を通じた教職員の資質向上、生徒指導に係る職員体制の整備、青少年教育カウンセラー等の専門的知識を有する者の確保等必要な措置を講ずる」と記載されています。抽象的とはいえ、人員対策について明記する政令市は稀であり、素晴らしいと感じます。来年度以降は、法18条の趣旨を十分に反映するべく、市立小中学校における研修が具体的にどのようなものであるか、生徒指導に係る職員体制を具体的にどのように整備するのかなどが明記されることを期待します。

・いじめ対策基本方針の見直しについて、「市は、市基本方針に定めるいじめ防止等の取組が実効的に機能しているか、『子どものいじめに関する審議会』において検証し、必要に応じて見直す。」と記載されています。見直しを明記する点は重要な記載ですが、いかんせん見直しの体制、時期、方法等が抽象的です。来年度以降、実際の見直し作業を通じて、見直し体制等自体も見直されることを期待します。

・自治体内部で構成する組織や22条の組織のメンバーに外部者を入れることを明記していません。この点は法の趣旨に反するものと言わざるを得ず、残念です。来年度以降、改善されることを期待します。

・いじめの隠蔽を防止するための具体的な対策が明記されていません。この点は理念として掲げることが重要な点と思われますので、来年度以降に期待します。

・重大事態に対応する組織について、第三者委員会とする旨の記載がありません。法28条の趣旨を十分に反映するべく、外部の専門家や弁護士等の第三者が重大事態の調査・対応を担うようにするなど、組織的な中立性を担保することが望まれます。

・いじめへの対処の記載が一般的かつ抽象的です。来年度以降は、状況ごとに個別具体的な対応が必要であることが明記されることを期待します。

・相談窓口の内容が抽象的であり、法16条2項の趣旨を十分に反映されていません。児童が直接相談・通報できる窓口の担当者、連絡先等を具体的に記載するなど、児童にとって利用しやすい体制を整備することが望まれます。

・いじめ根絶アピールに掲げられた各標語は頭に残りやすく、いじめ問題に対する市民の理解を深めるのに効果的であるようと考えられます。

・資料においていじめ行為の具体例を挙げ、いじめ加害者、被害者、傍観者などの周囲のいじめの構造を図解する等、いじめ問題に対して積極的に理解しようとする姿勢が示されています。

・全体として記述が抽象的であり、法の理念を貫徹しようとする姿勢が希薄であるように感じられました。来年度以降、実際の取組を踏まえ、記載が具体化することを期待します。

 

14位(最下位) 静岡市

・いずれの記載も極めて抽象的です。具体的な取組がほとんど存在しないのではという疑念すら抱かせます。

・基本目標の項目に、「他者から認められ、他者の役に立っているという『自己肯定感』や『自己有用感』を高めることができれば、いじめに向かう児童生徒は減ると考えられます」とのみ記載されるなど、全体としていわゆる「心でっかち」(by 荻上チキ)な方針となっています。

・「基本方針は、いろいろな状況を踏まえたうえで、PDCAサイクルにより適宜見直しを行い、必要な措置を講じます。」と記載されていますが、具体的なPDCAの方法、時期等が明記されておらず、実効性に疑問が残ります。

・財政的・人的拡充について一切触れられていません。

・いじめ法34条に基づく「いじめの事実が隠蔽されない」ようにする体制が取られていません。他の自治体を参考とした何らかの対策が求められます。

・自治体内部の組織について、「スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSWr)を積極的に活用するほか、医療の専門家や警察経験者等、学校の求めに応じて派遣する外部人材を確保します。」と記載しています。専門家を派遣する制度を設けていることは、他の政令市に稀な点であり、素晴らしいと感じます。他方、単に「積極的に活用」するだけでなく、組織の一員として主体的に活躍する場を設けることが重要です。来年度以降に期待します。

・いじめに関する報道について、「WHO(世界保健機関)による自殺報道への提言を参考にする必要があります。」と明記している点は素晴らしいと感じます。